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国の天然記念物に指定されている柴犬

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犬は、33,000年前には人類の傍にあると共に狩猟のアシストを担って来た生物であり、特に柴犬は国の天然記念物に指定されている6犬種の中で最も古代から現代に至るまで日本人の傍にいる人気の犬種です。この犬種は、三角に立った耳とキツネ顔が人気のポイントであるだけで無く、小型犬にもかかわらず大型犬をイメージさせる頑強な骨格に付随するしなやかな筋肉が美しい人気の犬種とされています。

また、確かな信頼関係が構築出来ると飼い主や飼い主の家族に非常に忠実な特徴があり、強い警戒心と独立心を持つ事から番犬としても人気です。

世界の犬の中でも古い犬に分類される柴犬

柴犬は、オーストラリアの野生犬ディンゴの遺伝子マーカーから7,000年以上前に分岐した亜種のチベットオオカミを直系の先祖とする縄文犬から進化したとされ、世界の犬の中でも最も古い犬の1つとされています。この犬種は、縄文時代や弥生時代には鳥獣の狩猟犬の役割を担うだけで無く家畜を守る番犬の役割も担っていたとされ、骨折の治療が行われていた痕跡が残されているほど大事にされていました。

1万1000年前には、感染性の性器癌が蔓延し多くのオオカミイヌや古代犬が数多く死滅しましたが、日本列島では感染しなかった事から順調に進化を遂げて来たとされています。しかし、明治維新後の洋犬の輸入増大に起因する純血種の減少が憂慮され、当時の文部省所管の社団法人日本犬保存会の働きかけにより昭和11年に国の天然記念物に指定されました。

犬の天然記念物は、昭和6年に指定された大型犬の「秋田犬」や昭和9年に指定された中型犬の「甲斐犬」と「紀州犬」及び「越の犬」に加え、昭和12年に指定された中型犬の「四国犬」と「北海道犬」の全7犬種です。越の犬は、国の天然記念物に指定された後の昭和38年に富山県の県獣に指定され保護活動が進められましたが、昭和46年に最後の純血種が死亡してしまった事から天然記念物の指定が消失しています。

柴犬には、西郷隆盛も愛した薩摩犬や紀州犬近似種の阿波犬など絶滅した地犬も多く、長野県の天然記念物に指定されている信州系の川上犬や陶器の絵付けにも毛が使われた三河犬など多くの地犬も絶滅の危機に瀕している犬種です。

国の天然記念物に指定されている柴犬の魅力

柴犬は、オオカミの血を引く事から頑強な骨格に付随したしなやかな筋肉が非常に美しい姿の犬種ですが、ピンと立った小さな三角耳とクルンと丸まった巻き尾が愛らしく日本国内だけで無く海外でも人気が高い犬種です。また、この犬種は暑さにも寒さにも強い事から環境に対する順応性が高い飼いやすさに加え、我慢強さと賢さが大きな魅力である事から日本犬の中で最も多く愛玩動物とされているのが現状です。

柴犬は、岐阜県や長野県及び山梨県に広がる中央高地周辺の地犬の名称であり、柴垣をすんなりと抜ける事や枯れ柴に毛並みが似ている事からこの名称で呼ばれる様になっています。その為、この犬種は全個体の8割以上が赤褐色の柴赤が占めていますが、黒柴や白柴及び胡麻柴が存在します。赤柴は、キタキツネを連想させる被毛に目の周りや胸及び耳などに「裏白」と呼ばれる白い差し色の被毛が特徴であり、柴犬らしいと最も人気が高い体毛色です。

黒柴は、全個体の約10%程度しか存在しない珍しい体毛色であり、目の上に現れる「麻呂眉」が非常に愛らしい個体とされています。白柴は、全個体の5%〜10%以下しか存在しない黒柴よりも希少種であり、赤柴同士の連続交配で誕生するとされる希少種です。胡麻柴は、赤柴と黒柴と白柴を足して3で割った様な体毛色であり、柴の中で最も珍しい種であり、国の天然記念物に指定されている「甲斐犬」と見間違えてしまいます。

毎日の散歩が不可欠な柴犬の生態


柴犬は、オオカミの血を色濃く受け継いでいるだけで無く数千年の長きにわたり狩猟犬の役割を担って来た事から警戒心が強く好奇心旺盛な特徴があり、様々なものに興味を示し常に動き回る生態を有しています。その為、ストレスの蓄積や運動不足が生じない様に充分に動き回れるスペースで飼う必要があり、狭い室内や限られたスペースの庭などで飼う場合には毎日の散歩が必要不可欠です。

この犬種は、生後3カ月までが成長のピークなので生後3カ月までに適切な運動を怠ると正常な成長が妨げられ、成犬時の大きさが標準体型を下回る結果を招きますが、ワクチン接種が全て終わるまでは生命の危険があるので家屋内で充分に遊ばせる必要があります。この犬種は、生後3カ月後から生後1年まで緩やかに成長するので美しい姿を形成する為に適度な運動が必要ですが、成長期を過ぎるとしなやかな筋肉が徐々に衰えていくので美しい姿を維持する為に適切な運動が必要とされています。

この犬種は、最終氷河期も生き抜いた縄文犬の血を色濃く受け継いでいる事から極寒地域でも生息可能な特徴があり、非常に硬い剛毛のトップコートと多くの空気を含み柔らかく温かいアンダーコートのダブルコートです。ダブルコートは、寒暖の変わり目に毛が生え変わるので換毛期にはびっくりするほど抜けが発生するので、散歩の際にしっかりとブラッシングしておくと室内や服が汚れずに済み衛生的にも楽です。

飼い主の適切な訓練が必要な柴犬

柴犬は、最終氷河期から狩猟犬の役割を担って来た縄文犬の血を色濃く受け継いでいる古代犬であるだけで無く、日本は海外の狩猟の様に複数の犬を伴う事が無く1匹の狩猟犬が自分の判断で獲物を追い立て獲物を回収する狩猟スタイルです。その為、柴犬は一々人間の指示を仰ぐ事無く独立心が強い特徴があり、犬自身が飼い主と認めない限り確かな信頼関係を築く事が出来ず飼う事自体が苦痛となる事があります。

しかし、柴犬と確かな信頼関係を構築する事が出来れば非常に忠実な犬種であり、その後の訓練も比較的スムーズに行う事が可能です。柴犬は、古代から現代に至るまで群れを組んだ事のない犬種である事から他の犬とのコミュニケーション能力が欠落しており、遅くとも成長期が終わる1歳までに他の犬や見知らぬ人との社会的コミュニケーショントレーニングを始める必要があります。

この犬種は、社会的コミュニケーショントレーニングを怠ると他の犬に対して強い攻撃性を示し、見知らぬ訪問者に激しく吠えるだけで無く噛み付く事も少なくないのが現実です。この犬種は、他の犬種の様に褒めて伸ばす生やさしいトレーニングでは効果がほとんど無く、悪い時にはしっかりと叱る強めの服従トレーニングが必要であると共にトレーニングは短時間でも繰り返しすり込む様に完璧な社会的コミュニケーショントレーニングを行う必要があります。

服従トレーニングは、初めて犬を飼う人には難しいかもしれませんが、気性が激しく気位の高い柴犬には不可欠です。

まとめ

柴犬は、縄文時代から日本人に寄り添って来た縄文犬や弥生犬を先祖とする古代犬であり、明治維新以降の洋犬の輸入に起因する交雑やジステンパーなどの感染症の流行による純血種の急激な減少に伴い国の天然記念物に指定されている犬種です。柴犬は、小さく尖った三角の立ち耳とクルンと丸まった巻き尾が愛らしい人気の小型犬ですが、狩猟犬の生態を受け継いでいる事から何事にも興味と警戒心を示し動き回る生態が特徴とされています。

その為、柴犬を飼う際には毎日の散歩と他の犬や人に対する社会的コミュニケーショントレーニングや服従トレーニングをしっかりと行う必要があります。

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