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狼から分かれた柴犬のルーツと生態

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柴犬は、日本国内の家庭で飼われている日本の古代犬の約8割を占める犬種であり、訓練次第で番犬にも出来る事から小型犬ながらも海外でも人気です。この犬種は、祖先に狼を持つ獰猛な血脈を有する犬種ですが、家主に限らず家族に従う人懐っこさや可愛らしい行動が好きな人も多く人気の犬種とされています。この犬種は、縄文時代から日本人に寄り添って来た経緯があり、天然記念物犬7種類の中で最も小さな特徴があります。

その為、日本全国で年間50,000頭〜70,000頭程度誕生しますが、全体の1%以下しか誕生しないとされる豆柴が人気です。

縄文犬や弥生犬と古代犬の柴犬の関係性

日本は、日本列島が現在の様に列島となる島嶼化以前の旧石器時代や縄文時代から現在に至るまで狩猟犬や番犬として縄文人に寄り添っていたとされていますが、70,000年前〜10,000年前の最終氷期に東南アジアやスンダランドから縄文人と北上して来た縄文犬と考えられています。縄文犬は、佐賀県の東名遺跡や愛媛県の上黒岩岩陰遺跡などから出土した犬骨から体高45cm程度の中型犬と考えられており、復元された縄文犬の「飛丸」は額から鼻にかけて非常に起伏の内つり目のキツネ顔とされている事から柴犬とは異なる犬種です。

縄文犬は、ユーラシア大陸から渡来して来た弥生人の増加や弥生人と混血しなかった縄文人が北海道や沖縄に追いやられた事に起因し、縄文犬の特徴を柴犬よりも色濃く残す北海道犬や琉球犬が日本列島の南北の地に生息し続けた結果、現在では国の天然記念物に指定されています。北海道犬は、体高が42cm〜53cmと大きく目尻がつり上がったキツネ顔であり、琉球犬は体高が46cm〜55cmと大きい事から紀元前10世紀頃に連れて来られた弥生犬と混血したと考えられる一方で島嶼化による影響で柴犬になったとされています。

弥生犬は、ユーラシア大陸の旧石器時代の遺跡から出土した犬骨の特徴を有しているだけで無く、縄文時代前期〜晩期まで栄えた宮城県の田柄貝塚の犬骨の体高が35cm〜41cmの柴犬サイズと確認されているのが現状です。

狼に起源を持つ柴犬とニホンオオカミの関係

柴犬は、東南アジアやスンダランドから北上した縄文人及びユーラシア大陸から渡来した弥生人によって日本列島に連れて来られた縄文犬や弥生犬にルーツを持つ犬種ですが、奈良県東吉野村で捕獲された雄の個体を最後に絶滅されたニホンオオカミと共にユーラシア大陸に生息するタイリクオオカミの亜種と考えられています。従来は、ユーラシア大陸やインド大陸などで家畜化された狼が犬のルーツと考えられて来ましたが、遺伝子学上日本犬はタイリクオオカミから分岐した亜種である事が確認されている犬種です。

ニホンオオカミは、120,000年〜140,000年前にユーラシア大陸に生息していたタイリクオオカミから分岐した亜種ですが、柴犬とは遺伝子学上大きな相違点が存在する事から家畜化による進化では無く別個体として進化したとされています。タイリクオオカミは、一般的にハイイロオオカミと呼ばれる現存する狼であり、ハイイロオオカミの仲間で3,000mを超える山脈に生息する寒さに非常に強いチベットオオカミから分岐したのが縄文犬のルーツです。

その為、縄文犬の特徴を色濃く受け継ぐ北海道犬は寒さに非常に強く硬い体毛などの特徴を有するとされ、暑さにも寒さにも強い柴犬とは外観から大きく異なります。柴犬は、ハイイロオオカミから分岐した絶滅種のハン・ドッグを先祖とする弥生犬に関係がありますが、現状ではハイイロオオカミから最も早い時期に分岐したニホンスピッツ系の亜種です。

天然記念物に指定されている柴犬


柴犬は、最終氷期に北上して来た縄文犬や弥生時代に渡来した弥生犬をルーツとすると共に日本列島の島嶼化によって体高が現在の35cm〜41cm程度になった国際畜犬連盟が定める第5グループに分類されている「原始的な犬スピッツ」です。原始的な犬スピッツ系は、柴犬よりも後にハイイロオオカミから分岐した秋田犬や中国華北原産のチャウ・チャウなどの犬種であり、狼を祖とする事から警戒心と独立心及び攻撃性が非常に強く狩猟犬や番犬に向いていますが、主人と認めた家族に対しては非常に忠実です。

この犬種は、携帯電話のCMで人気の北海道犬とは異なり寒さだけで無く暑さにも強く、温暖湿潤気候に属する四季が明瞭な日本の気候に適応している事から日本犬7種類の中で最も多くの家庭で愛玩動物として飼われている犬種です。この犬種は、前述した様に縄文時代から狩猟犬として飼われて来ましたが、明治維新以降急速な富国強兵による近代化で国内の洋犬が増加する事に伴い交雑進んだ事から昭和11年12月に当時の文部省によって天然記念物に指定されました。

しかし、昭和11年に天然記念物に指定された後も戦中戦後の食糧難に食犬の文化が復活すると共にジステンパーウイルスによる感染症などで激減した経緯があり、福井県から富山県にかけて生息していた元天然記念物の「越の犬」は絶滅しています。柴犬は、暑さと寒さに強い事から生息地域が広い事や日本犬の8割を占めている事から純血種が多く現存しており、10万円以下で購入可能な犬種です。

国の天然記念物の柴犬の特徴と生態

柴犬は、ユーラシア大陸やインド大陸北部に生息するハイイロオオカミ及び亜種を先祖に持つ事から狼の様な俊敏な動きを見せる事が多く、警戒心が強く飼い主に忠実な性格をしている事から自発的に家を守る犬種とされています。外観は、縄文犬の飛丸の様に目尻の吊り上がったキツネ顔に三角にとんがった耳が愛らしく、可愛らしい小型犬にクルンと丸まった巻尾が特徴です。

毛質は、ハイイロオオカミの亜種のチベットオオカミから分岐した縄文犬の血を受け継いている事からトップコートが非常に硬い一方でアンダーコートが非常に柔らかい特徴があり、毛色は赤色が最も多く次いで黒色と胡麻色となっていますが、極めて低い確率で北海道犬の様な白色の個体が生まれる事があります。日本犬は、日本列島の北端の北海道と南端の沖縄に縄文犬の名残を残す北海道犬と琉球犬が生息しており、柴犬は胡麻色の琉球犬と白色の北海道犬と交雑した名残かと考えてしまう個体も存在する犬種です。

柴犬は、基本的には約8割の確率で毛色が赤色の個体が誕生するとされ、ハイイロオオカミからハン・ドッグと柴犬が分岐した後に分岐したとされる秋田犬も同様です。その為、赤色が最も個体数が多い事から価格相場が安く、胡麻色〜黒色・白色の順で価格設定が高額となっており販売価格50万円前後の個体も存在します。この犬種は、一般的に6カ月〜8カ月に1度の頻度で発情期を迎え交配後約2カ月で出産しますが、寒い時期の受胎率が低い事から3月〜5月頃の販売価格相場が高くなる一方で11月〜2月が比較的割安で購入が可能です。

まとめ

柴犬は、日本がユーラシア大陸と陸続きの時代から日本人の先祖に番犬や狩猟犬として寄り添って来た犬達の末孫であり、ハイイロオオカミ及びその亜種のチベットオオカミから分岐した縄文犬や弥生犬にルーツを持つ古代犬の一種です。日本の古代犬は、大型犬の秋田犬や中型犬の北海道犬など全6犬種が国の天然記念物に指定されていますが、日本の古代犬の中で最も古い犬種である事から狼の特徴も色濃く有しています。

柴犬は、寒さや暑さに強く生息地域を選ばないだけで無く可愛らしい小型犬なので人気が高く、いつまでも飼い主を待つ行動を描いた映画「HACHI約束の犬」の影響で海外でも人気です。

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