柴犬は非常にかわいらしい見た目をしているため、日本だけでなく世界中の人々に人気の魅力的な犬種です。そのルーツは縄文時代にまで遡ると言われており、ほっそりとはしているが屈強な筋肉と軽快な動き、鋭い野生の勘を持ち合わせているため古くから狩猟を手伝わせる猟犬として訓練されてきました。また一時期は他の日本犬種と同様に絶滅の危機に瀕していた時期があるため、国の天然記念物にも指定されています。
そんな柴犬ですが、他の犬種と比べても抜け毛の量が非常に多いため、実際に柴犬を飼育する場合にはこの抜け毛の問題に真摯に向き合わなればなりません。
柴犬の被毛構造による抜け毛の原因
柴犬は他の犬種と違って非常に抜け毛の多い犬種ですが、その対策を講じるためにはまず柴犬の被毛構造をよく知ることが重要になります。そもそも犬の被毛構造には二つ種類があり、シングルコートとダブルコートがあります。また犬の毛は上毛をオーバーコートと言い、下毛をアンダーコートと言いますが前者は太くて丈夫な剛毛でできており、皮膚を保護する役割があります。
後者の方は柔らかい毛でできており、皮膚を保温保湿する役割をもっています。ダブルコートというのはこのオーバーコートとアンダーコートを両方もっていることで、アンダーコートがないことをシングルコートと言います。柴犬の場合はダブルの犬種であるため、春と秋にアンダーの部分の毛が入れ替わり、これが抜け毛の原因となっています。
ちなみに、シングルコートの犬種の場合だと一年を通して少しずつ毛が生え変わるので、ダブルの犬種に比べて抜け毛が気になるようなことはありません。このように、柴犬の抜け毛原因は何か特定の病気によるものではなく、その犬種がもっている被毛構造によるものなので、根本的に抜け毛を無くすことはできません。またダブルの犬種には柴犬の他にも、愛らしい見た目で世界的に人気が高いチワワやポメラニアン、ゴールデンレトリバーなどがいます。
他方、シングルの方の犬種にはプードルやマルチーズ、フレンチブルドッグなどの日本でも人気の高い犬が多数います。
柴犬の毛の手入れ方法はどのようにすべきか
犬の毛はシングルコートにせよ、ダブルコートにせよ抜け落ちるものです。ですから、必ず毛の手入れをしてやる必要があるのですが、近代ではエアコンによって夏でも冬でも気温の調節ができてしまうため、本来は季節の変化に対応するために生え変わる毛の周期が乱されてしまうことがあります。特に、夏場に外に出ないで一日中エアコンの効いた涼しい室内にいたり、同様に冬場にずっと温かい部屋に籠っていると抜け毛の周期は高確率で乱れてしまいます。
確かに、犬も熱中症になることはありますし、冬も温度管理が大事なのはわかりますが、犬は本来野生の生き物なので、野生の生活にできるだけ近づけてやることも大事です。実際に毛の手入れをする場合は、ブラシで優しく抜け毛を落としてやるのが一番ベストな方法です。ブラシは何を使ってもいいというわけではなく、被毛構造がシングルコートなのかダブルコートなのか、それから毛の長さはどれくらいなのかという情報を詳細に調べた上で購入しなければなりません。
それにブラッシングは犬の毛を落とすだけでなく、身体についてしまった、ほこりやチリを落とすためにも必要なことなので手を抜かず丁寧にやらなければなりません。そうしたほこりやチリが蓄積するとくしゃみの元になりますし、場合によっては病気になることもあるため特に抜け毛の多い犬種である柴犬の場合はブラッシングの習慣は忘れないようにしましょう。
柴犬の毛からわかるコンディション
犬の毛は多くの人が思っている以上に様々な情報を提供してくれています。犬の毛は犬が食べているものに影響を強く受けるため、栄養に偏りが出てしまうと毛に表れます。皮膚の被毛を健康に保つために必要な栄養素はビタミンE、ビタミンA、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、タンパク質などがあり、日々の食事メニューに積極的に取り入れることが重要です。オメガ脂肪酸は別名、必要脂肪酸とも呼ばれており体毛や健康ためには欠かせない栄養物質となります。
この二つの栄養素は犬の体内では合成されないものであるため、必ず飼い主が日々の食事の中に意識していれなければならないものです。ビタミンに関しては最近のドッグフードでは摂取が難しくなっているため、茹でたレバーなどを意識的に与えるようにしなければなりません。もちろん人間と同様に、必要栄養素は過剰に取りすぎると逆効果になりますからドッグフードを選ぶときにはその栄養素の含有率をしっかり調べておく必要があります。
また、単純に体調がすぐれない場合にも犬の毛はパサつきが増し、毛艶が悪くなります。それに気候によっても犬の毛の質感は変化するので、柴犬だけでなくあらゆる犬種で乾燥する秋や冬には被毛の乾燥度具合をみてやることが重要です。以上のことから、抜け毛の多い柴犬は特にですが、日ごろからブラッシングの際などに毛をよく観察する習慣をつけておき、犬の健康に注意を払うことが必要となります。
抜け毛の多い柴犬には毛のカットが必要なのか
犬の犬種によっては毛を日常的にカットしてやる必要があります。毛が長すぎると体温が上がってしまい夏場に熱中症を起こすリスクが高まりますし、冬場に毛が短すぎると寒さで犬の体調が崩れてしまいます。要するに季節の変化に対応できるように人為的に犬の毛はカットして上げなければならないのですが、柴犬の場合は日本生まれの犬種のため四季の変化に対応できる毛並みを持ち合わせています。
人によっては柴犬にサマーカットを施している人もいますが、柴犬の場合は冬に毛が生えそろわないので下手に切るのは危険です。また柴犬の場合は毛がたくさん抜けてしまうため、その量を減らそうとカットをしようとする人もいると思いますが、それは無駄な行為です。柴犬の抜け毛はアンダーコートの毛が大半であるため、表面のオーバーコートの部分を切ったところで抜け毛の量は大して減ることはありません。
ただ犬の健康のためには、抜け毛に関してはしっかり取り去ってやらなければならないので、ブラッシングでしっかりアンダーコートの毛を排除してやる必要はあります。具体的には換毛期に入ると毛が抜ける部位のアンダーコートが自然に浮いてくるので、そこを中心にブラッシングをするのがコツになります。抜け毛がどうしても酷いという場合には、ブラッシングではなく、ゴム手袋をはめて柴犬の身体をマッサージしてやると綺麗にアンダーコートの毛が落ちていってくれるので知っておくと便利です。
まとめ
柴犬という犬種はダブルコートの被毛構造を有しているため根本的に抜け毛が多い犬種になります。そのため、抜け毛を減らそうと毛のカットをしたところで大した効果はなく、ほとんどオーバーコートの毛しかカットすることはできません。抜け毛が蓄積すると犬の健康にはよくないので、飼っている犬に合ったブラシを使って日常的にブラッシングをしてやることが重要ですし、どうしても抜け毛が多い場合はゴム手袋を使って抜け毛を落としてやることが有効です。
そのとき、犬の抜け毛の艶や質感をよく観察して、犬の栄養状態に気をつけることが飼い主として大切です。