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ハイイロオオカミにルーツを持つ柴犬

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柴犬は、日本国内の登録犬種134種の中で5位と飼育数が最も多い日本犬であり、国の天然記念物に指定されています。この犬種は、大陸のハイイロオオカミにルーツを持つ縄文犬の直系の犬種であり、縄文犬がチベットオオカミにルーツを持つ事から寒さにも強く室内でも屋外でも飼育する事が可能な犬種として大人気です。

この犬種は、アメリカやヨーロッパでは映画「HACHI約束の犬」での忠実さや小型犬ならではの可愛らしさが人気ですが、オオカミにルーツを持つ稀有な犬種である事も人気とされており国内外のドッグショーで優勝している犬種です。

縄文人と共に渡来した柴犬の歴史

柴犬は、日本の縄文時代の遺跡から直系祖先に当たる縄文柴とも呼ばれる犬骨が出土しており、中石器時代や亜旧石器時代に相当する紀元前10,000年頃には番犬や狩猟犬で縄文人に飼われていたと考えられています。この犬種は、縄文時代創世記〜後期までの10,000年にわたり栄えた上黒岩岩陰遺跡に埋葬されている事から家族的な存在であったと推測されており、番犬や狩猟犬の目的で飼育されると共に家畜利用されていた犬種です。

日本各地の縄文遺跡では、狩猟による犬歯の欠損や肋骨の骨折などの痕跡が確認されているだけで無く、骨折を治療した痕跡も確認されている事から番犬や狩猟犬として重要な役割を果たしていたと考えられています。弥生時代には、狩猟犬として役立つ一方で食料とされた痕跡が数多く発見されており、第7代孝霊天皇の治世には五・五一事件で誅殺された内閣総理大臣犬飼毅の先祖が御犬飼の役職にありました。

平安時代には、皇族や平安貴族の鷹狩りや鴨狩りに欠かせない存在として飼育され、鎌倉時代や室町時代には牛追いから派生した犬追いが行われています。安土桃山時代には、世嗣ぎに恵まれない豊臣秀吉が体力維持及び精力増強の目的で虎肉を朝鮮から送らせるだけで無く、大阪城で虎の餌の為に柴犬などの犬を提供させていました。江戸時代には、外国原産のスピッツなどの洋犬との交雑が行われる様になり、より開けた貿易が行われる様になった明治時代にはより交雑が進んでしまった事から昭和11年に国の天然記念物に指定されています。

映画「HACHI約束の犬」で人気の柴犬のルーツ

柴犬は、後期旧石器時代〜縄文時代中期までに日本列島の渡来したとされる縄文人と共に渡来した縄文犬が直系の先祖とされ、タイリクオオカミとも呼ばれるハイイロオオカミにルーツがあるとされています。正確には、ハイイロオオカミから分岐したチベットオオカミからさらに分岐した亜種であり、チベットオオカミは天山山脈やチベット山脈及びヒマラヤ山脈などの山岳地域に生息する種である事から後期旧石器時代〜縄文時代中期の寒さ厳しい環境にも順応し進化した犬種です。

柴犬は、ハイイロオオカミから先に分岐した中国広東省原産の闘犬用犬種シャーベイやコンゴ共和国原産の狩猟用犬種バセンジーに続いて分岐した古い犬種であり、世界的に見ても国際畜犬連盟で最古に分類される第5グループ「原始的な犬スピッツ」に属しています。この犬種は、ユーラシア大陸と陸続きであった島嶼化する以前の日本列島に南方もしくは西方より渡来した事から徐々に北上に伴い、各地域の環境に順応した事で本州西部の山陰柴や中部地方の美濃柴及び甲信越地方の信州柴の3系統が主流です。

柴犬は、日本国内で飼育されている日本犬の約8割以上を占める程の人気であり、ジャパンケンネルクラブの犬種別籍登録頭数で5位にランクインしています。映画「HACHI約束の犬」以降は、アメリカやイギリスでの人気の高まりに伴い世界的な畜犬団体の国際蓄犬連盟に公認されている犬種であり、2012年にイギリスで開催されたクラフツ・ドッグショーで優勝しています。

狼の特徴を色濃く受け継ぐ柴犬の姿と毛色


柴犬は、ハイイロオオカミから分岐した縄文犬を直接の先祖とする犬種であり、絶滅した「越の犬」を除いた国の天然記念物6犬種の中で最も古い犬種です。直系先祖の縄文犬は、千葉県船橋市の藤原観音堂から出土した犬骨「飛丸」が実際に復元されており、体高が41cm前後と現在の柴犬の雄の体躯と大きな相違点がないとされています。

ジャパンケンネルクラブでは、オスの体高が39.5cmの前後1.5cmもしくはメスの体高が36.5cmの前後1.5cmが標準体定義されていますが、昭和30年頃から交雑繁殖されている体高34cm以下の豆柴も注目されています。体長は、縄文柴と地柴で異なるものの体高と体長がほぼ同サイズのコンパクトな姿であり、8kg〜11kgのオスと7kg〜9kgのメスが標準的な体重です。姿は、小さいながらもピンと立った三角耳とシュッとした顔立ちが特徴であり、右巻きや左巻きなどの個体差があるもののクルンと丸まった巻き尾が可愛らしく人気です。

体質は、小型犬ながら狼の敏捷性と体を動かす事を好む事から小型犬ながらも筋肉質の引き締まった犬種であり、寒さにも非常に強い特徴があります。柴犬は、寒さに非常に強いチベットオオカミから分岐した縄文犬の末孫である事から短毛針毛のダブルコートであり、上毛が非常に硬い直毛である一方で下毛は綿の様に柔らかく非常に暖かい体毛です。体色は、基本的に赤味がかった黄土色の赤色が全体の8割以上を占めていますが、約1割「まろ眉」の可愛い黒褐色の黒毛が誕生します。

また、赤毛と黒毛及び白毛が混じっている「胡麻毛」が非常に稀な確率で誕生するとされ、色のバランスによって胡麻や黒胡麻及び赤胡麻と呼ばれています。

自尊心の高い柴犬の性格と訓練方法

柴犬は、優秀な狩猟犬として旧石器時代から長く寄り添って来た犬である事から狼の様な俊敏な動きや警戒心の強さが特徴であり、加えて飼い主にとても忠実な性格である事から訓練次第では岡山県警の嘱託警察犬審査会で合格した「二葉」の様に警察犬も可能です。この犬種は、訓練次第で飼い主の命令が無くてもやるべき事をなす自立心と自尊心の高い犬種であり、狼の血を色濃くひいている事から自分の縄張りを犯す人や犬に対して激しい防衛本能を燃やす番犬向きの性格でもあります。

その為、特に警戒心や防衛本能の強い個体は他の犬や人に対して強い攻撃性を示す事があり、主人以外の家族や他の犬との友好的な関係を構築する能力を身に付けさせる目的で子犬の頃から社会コミュニケーショントレーニングを行う事が必要です。この犬種は、寒さにも暑さにも強い生態を有している事から季節を問わず屋外で飼育する事が可能ですが、気温が上昇し始める春と気温が低下し始める秋には換毛時期があるので毎日のブラッシングで大量の抜け毛に対処する必要があります。

また、兎に角体を動かす事が好きな犬種である事から駆け回る事が出来る環境での飼育が望ましく朝夕の散歩は必須とされ、筋肉の成長のピークとなる1歳までは犬自身のペースに合わせた適度な運動や散歩で筋肉や関節の保護及び維持を心掛ける事が必要です。訓練は、他の犬種では褒めて伸ばす甘めの方法が一般的ですが、柴犬は自尊心の高い強情な気質を持っている事から信賞必罰の強目の方法が有効とされています。

まとめ

柴犬は、中石器時代や亜旧石器時代に相当する紀元前10,000年頃には縄文人と共にユーラシア大陸と陸続きの日本列島で生息していた縄文犬を直系の先祖とする犬種であり、古くはユーラシア大陸に生息するハイイロオオカミから分岐した古代犬です。この古代犬は、敏捷性や警戒心の強さなどハイイロオオカミや縄文犬の生態を色濃く受け継いでいる犬種であり、子犬の頃から社会コミュニケーショントレーニングを実施する必要があります。

柴犬は、映画「HACHI約束の犬」以降主人に忠実かつ愛らしい外観が海外でも人気であり、イギリスで開催されたドッグショーで優勝しています。

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