健康

柴犬の出産時に気をつけること

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柴犬はその祖先が縄文時代より日本人のパートナー的存在であり、狩猟犬や番犬、近年では家族の一員として大変かわいがられてきた犬種です。愛らしい表情と凛々しい姿から日本のみならず、海外でもその人気を誇っています。日本において1960年代に天然記念物に指定されたことから、さらに爆発的に人気になりました。また頭も良く丈夫なことから病気にかかりにくいとされ育てやすく、一度上位者と認めたものの言うことは決して忘れることはないほどの忠誠心を持っています。

そんな柴犬の出産時に飼い主が気をつけるべきことを紹介していきます。

柴犬の出産時の状態と出産の流れは?

出産予定日が近づいていくにつれて、柴犬の様子はどんどん落ち着かなくなり、食欲が全くと言っていいほど減退するとその日のうちに出産することが多いです。その際は必ず、大きな音を立てないように気をつけながら静かに見守るようにしましょう。妊娠してから2ヶ月ほどで陣痛が開始され、息を荒くして緊張している様子があればそれ以降どんどん陣痛の痛みが激しくなっていきます。陣痛開始後2時間ほどで1匹目の子犬が頭を出し産まれていきます。

母犬はその後すぐに胎児を包んでいる羊膜を舐めながら取り除き、へその緒を噛みちぎったりなど、全て自分で処理をします。羊膜に包まれている状態のままだと子犬は息をすることができませんが、子犬が息ができるように母犬が舐めて乾かして温めながら呼吸ができる状態にしていくのです。これはあくまで1匹だった場合であり、双子や三つ子またはそれ以上であれば、子犬は一気に産まれてくるわけではありませんので、次の子犬が産み落とされる15分から60分の間隔の内にこれら全てをこなしていくのです。

また多頭産まれる場合であれば、次の子犬が産まれる間隔の間に、食事を取ったり排泄のために外に少しだけ連れ出してあげることも可能です。全ての子犬が産まれて呼吸をしていることを確認でき次第、母犬は休憩を取ります。この一連の流れが全て終了して初めて、母犬は子犬に母乳を与えることができるのです。ここまでくれば飼い主も一安心です。

柴犬は異常出産の可能性があるの?

前項で案内した内容が正常な出産時の流れとなりますが、場合によっては異常出産が起こってしまう可能性があります。柴犬の出産は人間と同様で陣痛が定期的に起こりながらどんどん痛みが強まります。それに合わせて母犬は体を丸め始め、出産のため力むようになります。そこからだいたい15分ぐらいで子犬が頭をのぞかせるはずなのですが、30分経っても出てこない場合は異常出産とみなされます。

この理由はさまざまで、胎児が大きすぎることから産道につかえてしまっているケースと、胎児を押し出す力が弱いケースがあります。このような場合は難産とみなされ、早急に動物病院に連絡をするようにし、獣医さんに診てもらう必要があります。診断結果によっては、通常分娩ではなく帝王切開となる可能もあり、母犬にとっては大変な出産となりますので飼い主としてサポートできる部分は全力でサポートしてあげるようにしましょう。

また、出産時に子犬の頭は出てきたけれど、出血を伴っている場合は要注意です。出血しながら胎児が出てきた場合は、胎児はもう亡くなってしまっている可能性が高く、もっとも危険な状態なのは母体です。出血量によっても状態は異なりますが、多量の出血が見られる場合には必ず動物病院に連絡し早急に獣医さんに診てもらうようにすることが大切です。出産は人間と同じようにさまざまな危険を伴うものです。

母犬が健康に安全に出産できるよう、飼い主はサポートしなければなりません。

柴犬の出産後の子育ての仕方は?


柴犬の出産が終わり、子犬が元気に産まれてから生後3週間ぐらいまでは、子犬の身の回りのあらゆる世話を母犬が引き受けます。母乳を飲ませ、下腹部や肛門回りを舐めて排尿や排便を促し、それらを全てキレイに舐めとります。子犬はまだまだ視力が正常ではなく、周りをあまり見ることができません。手探りしながら動いている内に母犬や兄弟たちとはぐれてしまうことがあります。そうなると子犬は母犬を探して鳴きます。

その声を聞きつけて母犬は子犬の首根っこを咥えて連れ戻します。このような子育てを繰り返し繰り返しこなしていきながら子犬はすくすくと成長するのです。母犬が一生懸命子育てしている間は人間がむやみやたらに干渉しないようにすることも重要です。子犬がかわいいからと何度も触ったり抱きかかえているうちに、母犬の母性本能がなくなってしまう可能性があります。せめて生後1週間は暖かく見守る程度にしておきましょう。

ただし、たくさんの子犬が産まれた場合、母犬の育児が行き渡らない子犬も存在してしまうことがあります。最悪の場合うまく育たなくなってしまう可能性もありますので、その場合は飼い主が人工哺乳を行ってあげるようにしましょう。念のために獣医さんに事前に診てもらい、適正な授乳量を把握しておくことが大切です。あとは母犬の世話も怠ってはいけません。食事も散歩も快適な温度設定も飼い主がきちんと行ってあげるようにしましょう。

柴犬が出産しないための避妊手術は?

飼い主の中には、将来愛犬に子犬が産まれてきても育てられなかったり、子犬が産まれる計画がない場合があります。そういったことにならないためにも、将来子犬を望まない場合は必ず柴犬の避妊手術をすることをおすすめします。避妊手術は愛犬の年齢が若ければ若いほど安心して受けさせることができるのですが、骨格や体格がしっかりしていない子犬期ではなく、生後10ヶ月から1歳未満の間が最も適齢と言えます。

また、全身麻酔を行なっての手術となりますので、万全な時に臨むようにしてください。避妊手術には2種類あり、左右の卵巣を摘出する手術と、卵巣だけではなく子宮も摘出する方法があります。避妊目的であれば、卵巣摘出のみで十分です。摘出する範囲が大きければ大きいほど体に負担がかかりますので注意しましょう。避妊手術をすることによって望まない妊娠を回避できるほかにも、メスの柴犬がかかりうる病気にかからなくなります。

またメスを入れることに抵抗がある場合は、カプセル状の薬で避妊効果を得られるものかあります。この薬を首筋に埋め込むことによって発情が抑えられ、約2年間ほどの効果が得られます。どうしても全身麻酔を伴う避妊手術は、そのまま命を落としてしまうような危険性もありますし、避妊手術をすることで問題行動が出てきてしまう柴犬もいます。そういったことを防ぎたいのであれば、服用タイプの薬で対処するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。柴犬の出産時は母犬も産まれてくる子犬もとても大変な行為です。飼い主として異変が起こった場合にすぐに動物病院に駆けこめるように目を離さないように観察しておくようにしましょう。生まれてきた柴犬の子犬はとても可愛らしく、撫でたり抱っこしたい飼い主もいるかもしれませんが、毛色がはっきりするぐらい子犬の成長が安定するまでは我慢して暖かく見守ってあげるようにしましょう。

また、子犬が産まれてきても飼えない事情があるのであれば、事前に避妊手術を受けさせておくことも大切です。柴犬にとって健康に子育てできる環境を作ってあげるようにしてください。

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