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幻の犬とされる柴犬の白色長毛の羽衣之柴

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柴犬は、日本国内では純血種保護の観点から国の天然記念物に指定されると共に犬種基準が厳しく規定されている犬種ですが、家庭で飼育されている日本犬の約8割を占める人気の犬種でもあります。柴犬は、縄文時代や弥生時代に狩猟犬とした古代犬を直接の祖先とする原始的な犬種であり、低地〜標高4,000mの山岳地域まで適応可能である事から山陰柴や美濃柴など地柴も多くいる犬種です。

過去には、短毛のダブルコートがスタンダードとされる柴犬に白色で長毛の「羽衣之柴」と呼ばれる希少種が存在し神の使いと珍重され、アメリカでは「エンジェルウイング・シバ」として大きな話題となりました。

幻の犬と呼ばれる白色の長毛種の柴犬

柴犬は、短毛のダブルコートの被毛かつ最もポピュラーな赤毛の個体がスタンダードとされていますが、極稀に純白の長毛の被毛を持った個体が生まれた事があります。この個体は、色素が遺伝的に受け落ちてしまう遺伝子異常のアルビノ種では無く正常な遺伝子を有する健康な個体の白変種であり、日本国内では「羽衣之柴」と呼ばれる一方でアメリカでは「エンジェルウイング・シバ」と呼ばれていました。

羽衣之柴は、長毛と白色被毛の2種類の劣勢遺伝子を同時に発現する必要がある事から胡麻色の被毛種よりも生まれる確率が非常に低く、純血種の保護の概念が無かった江戸時代にも生まれる確率が著しく低かったとされています。江戸時代には、江戸幕府第5代将軍徳川綱吉が江戸町民から高額で買い取り専用の柵に入れるとともに専門の世話人を複数つけたとされ、町民達にも羽衣之柴を神の使いや縁起物として珍重された犬種です。

しかし、特に明治維新以降海外から輸入される犬種との交雑が増加し純血種の保護と犬種基準が強化された事で羽衣之柴が純血種と認められない事態が発生し、羽衣之柴は更に生まれる確率が低下してしまい現在では全く生まれる事が無く「幻の犬」と呼ばれています。羽衣之柴は、1990年代にアメリカで誕生すると共に「エンジェルウイング・シバ」と大きな話題となりましたが、数百万分の1の確率で発生する過剰受胎による異種交雑犬であると実証されています。

海外でも人気の柴犬の被毛の特徴

羽衣之柴は、白色の被毛かつ長毛の被毛である事から神の使いと神聖視されると共に純血種の保護活動により絶滅してしまいましたが、現在でも白色の被毛もしくは長毛の個体が稀に誕生しているので将来羽衣之柴が誕生する確率はゼロでは無いとされています。しかし、柴犬は基本的に短毛のダブルコートであり、被毛色は全個体の約8割が赤色とされています。

この犬種には、最もポピュラーな赤色以外に黒色や白色及び胡麻色のトータル4種類の被毛色があり、キツネの様に明るい赤色が最も人気がある犬種です。黒色は、体全体が黒色の被毛で覆われていますが、赤色と同様に頬や四肢の先及び腹部などが白色や茶色になっています。黒色は、誕生する確率が10%未満と赤色に比べて低く、顔に愛らしい麻呂眉が発現する特徴があります。

白色は、羽衣之柴の被毛色と同様に誕生する確率が非常に低く、赤色の個体同士による連続交雑で誕生するとされる白変種です。胡麻色は、赤色と白色及び黒色の3色の被毛がミックスされた希少種であり、誕生する確率は5%未満とされています。胡麻色は、成長と共に成犬時に被毛色が変化してしまう特徴があり、虎毛と呼ばれる被毛色の誕生確率は1%未満とされています。

柴犬は、最終氷河期末期に相当する縄文時代を生き抜いた縄文犬を直接の先祖とする事から寒さに強く、かなり硬いトップコートコートと非常に柔らかく温かい綿毛のアンダーコートのダブルコートです。柴犬のダブルコートは、暑いシーズンと寒いシーズンでは長さも毛質も異なる事から年2回季節の変わり目に山の様な抜け毛があり、季節の変わり目には毎日のブラッシングが必要です。

可愛らしい三角耳と愛嬌のある柴犬


柴犬は、愛らしい三角耳及びフサフサの巻き尾が最大の特徴であり、世界のハイブランドのCMモデルに起用されている狼をイメージさせるワイルドな犬種です。柴犬は、額から鼻筋にかけて比較的平坦な面長の「キツネ顔」が一般的なイメージであり、縄文時代に遺跡から発掘された古代犬と非常に類似している事から縄文柴とも呼ばれ、ワイルドな風貌と愛嬌を兼ね備えている事から海外のハイブランドのCMモデルとなっています。

しかし、現在では鼻や頬のラインが丸いだけで無く本来ガッチリとした骨格の柴犬を更にガッチリとさせ全体的に丸みを帯びている「タヌキ顔」を好む愛犬家も増えており、丸い鼻や丸い頬に加えて首も太いのでズングリとした柴犬です。タヌキ顔は、縄文柴から派生した柴犬に対して弥生柴から派生したと新しい柴犬と考えられており、縄文柴から派生した柴犬に比べて体高が幾分か低く体重もやや軽めとされています。

柴犬は、左右の一重巻や左右の二重巻に加え車巻や半巻の6種類が昭和初期に発表されていますが、刀をイメージした太刀尾や薙刀尾及び牛蒡尾や茶筅尾など15種類が存在します。太刀尾は、しっぽを巻く事無く太刀を垂直に立てた様な形であり、薙刀尾は薙刀を横に置いた様な緩やかなカーブを描く形です。牛蒡尾は、文字通り水平に細長く真っ直ぐのびる牛蒡の様な形であり、茶筅尾は茶道の茶筅を立てた様に先がフサフサとしている珍しいしっぽです。

柴犬が散歩を好きな理由と必要性

柴犬は、小型犬にもかかわらずガッチリとした骨格に張りのある筋肉が程よくついている姿が凛々しく、日本国内だけで無くアメリカやイギリスにも数多くの愛好家がいます。この犬種は、縄文時代から狩猟犬として活躍して来た経緯があり、昭和時代に入っても凶暴な熊や鹿などの狩猟のサポートを行って来ました。その為、警戒心が非常に強く何にでも興味を示す好奇心旺盛な事から寝ている時以外動き回る生態であり、兎に角体を動かすのが好きです。

柴犬は、散歩を怠ると過剰なストレスを蓄積させて体調を崩してしまう事も少なく、特に成長期には骨と筋肉を正常に成長させる為に必要不可欠です。この犬種は、小型犬ながらも狩猟犬だったのでスタミナが豊富であり、朝夕の散歩は充分に体が動かせる様に20分〜30分程度が望ましいとされています。柴犬は、自分で考えて行動する事が出来るとても賢い犬種なので毎日同じ決まったコースではすぐに飽きてしまう事も多く、旺盛な好奇心を満足させてやる為に様々なコースでの散歩がより有効です。

また、毎日定刻に出掛けていると定刻になると催促する様に無駄吠えする事が多く、時間を定めず行った方が飼い主には便利です。柴犬は、基本的に暑さ寒さに強いとされていますが、すべてのワクチン接種が完了する生後4ヶ月頃の幼犬時は暑さに比較的弱いので日差しの強い日中の時間帯を避けて地面の温度の低い早朝や夕方以降が望ましいとされています。

まとめ

柴犬は、日本国内だけで無くアメリカやイギリスにも数多くの愛好家が存在する犬種ですが、縄文柴から派生したキツネをイメージさせる個体や弥生犬から派生したタヌキをイメージさせる個体がいます。過去には、柴犬では非常に稀有な白色で長毛の被毛を持つ事から神の使いと神聖視された「羽衣之柴」が存在し、生類憐みの令例で犬将軍と呼ばれた5代将軍徳川家綱が庇護したとされています。

しかし、天然記念物としての純血種の保護活動や犬種基準の強化の影響で全く誕生しなくなり、羽衣之柴は現在では「幻の犬」となっている絶滅した犬種です。

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