トリミング

柴犬にサマーカットをする前に

更新日:

柴犬はその愛らしい見た目から日本だけでなく海外の人たちにも人気の高い犬です。そんなこの犬のルーツは縄文時代にまで遡り、古来は猟犬や番犬として家族の一員に加わっていたようです。夏場でもモフモフした毛を体中に生やしており、とても暑そうに見えるため、多くの飼い主たちはこの犬をドッグサロンに連れて行ってヘアーカットをするようですが、その行為は必ずしも良いとはいいきれません。サマーカットをする前にはよく遺伝的な体毛の構造を知っておく必要があります。

大切な愛犬に施す行為は一つ一つ慎重に決めていくべきことです。

柴犬もっている被毛構造について

柴犬は日本の四季に対応するためにダブルコート呼ばれるいる被毛構造を有しています。この遺伝的な体質は寒い国を原産とする犬種に多いもので、皮膚の下層にある、体温調節を目的としたアンダーコートと呼ばれる毛が生えているのが特徴です。一般的な犬は、皮膚の表面部分に、体を守るために生えているアンダーコートと呼ばれる毛のみ有している被毛構造をしており、これをシングルコートと呼びます。

そのため、遺伝子的に柴犬はどうしても春や秋になると大量の抜け毛が発生してしまい飼い主はその処理に追われるのが普通です。そのため、一部の飼い主には柴犬を犬専用の美容室に連れて行ってヘアーカットを施す人もいるようですが、抜け毛はアンダーコートから発生するので表面の毛を切ったところであまり意味はありません。夏場に熱中症にならないように、柴犬にサマーカットを施す飼い主もいますが、表面の毛は体温調節の役割があるわけではないのでこれも意味がありません。

ただ柴犬の抜け毛は身体にまとわりついていくので、ほっておくと犬が毛布にくるまっているような状態になるため、定期的なブラッシングとシャンプーによる手入れで毛を落としてやる必要があります。こうすることで、夏場も比較的快適に暮らせますし、サマーカットよりもはるかに実用的な飼い主の世話であると思います。ちなみにシングルコートの代表的な犬種にはマルチーズやグレートデーンなどがいます。

柴犬の抜け毛を処理するための方法

柴犬は遺伝子的な体質がゆえにどうしても季節によっては抜け毛が大量に発生してしまいますが、その多くは身体にまとわりついているので、夏場に愛犬を熱中症にさせないためにもブラッシングやシャンプーを欠かしてはなりません。ブラッシングというと簡単なイメージがあるかも知れませんが、使うブラシだけでもスリッカーブラシ、ラバーブラシ、ピンブラシなど非常に多くあります。

スリッカーの特徴は、くの字に曲がったピンがあるということで、このピンの硬さの違いによってハードとソフトに別れます。またこのブラシは抜け毛処理に向いているため、柴犬の抜け毛処理もこれメインでまったく問題ないと思われます。ラバーブラシはその名の通りゴム状のブラシのことで、手袋上のものもあるのですが、高い除毛性能を誇っているのが特徴です。ただ、除毛しやすい分、愛犬の皮膚を傷つけやすいのでブラッシングの際には注意がいります。

ピンブラシは先端にボールがついているピンが特徴的なブラシですが、除毛性能はまずまずといったところです。シャンプーに関しては衛生面に関しても絶対にやらなければならない習慣ですが、月二回程度にしておかないと柴犬の皮膚を傷つけてしまいます。夏場にサマーカットによって犬の表面の体毛を減らすよりも、上記のような抜け毛処理をした方がはるかに効果が出るので、飼い主ならば面倒くさがらずに定期的に手入れをしてやることが大切です。

柴犬のサマーカットの危険性について


夏になると柴犬を暑さから開放してやろうとサマーカットを施す飼い主もいます。そもそもサマーカットとはドッグサロンにてバリカンで全身の毛を短くすることであり、ダブルコートの被毛構造を有している柴犬にはあまりおすすめできないヘアーカットです。軽くお尻の毛や足の裏の長く伸びた毛をカットするぐらいならあまり問題ではありませんが、切りすぎてしまうと場合によって柴犬がアトピー性皮膚炎を発症してしまいます。

柴犬の毛を短くしてしまうとどうしても外部からの刺激を受けやすくなってしまうので、皮膚のトラブルが増加してしまいます。そもそも柴犬はアトピー性皮膚炎になりやすい犬種と呼ばれており、座る時間が長い老犬や皮膚が荒れがちな柴犬はサマーカットはやめた方がいいです。それでも愛犬がどうしても夏場に暑さでぐったりしているようであれば、エアコンで室温管理をすることになります。

ただ、エアコンもかけすぎてしまうと柴犬の換毛周期がずれてしまったり、夏バテが加速するといった現象が起きることもあるので何事もほどほどにすべきです。ちなみに夏バテの症状は食生活の改善や適度な運動によってある程度改善することがあります。食欲がない場合には普段と違った食事を与えてみたり、水気の多い食事を与えると食欲が戻るかも知れません。運動に関しても昼間に散歩させることはせず、夜中か朝方の涼しい時間帯に変更するのがおすすめです。

老化による柴犬の換毛周期のずれ

この世の中のあらゆる生物はみな年老いていきます。それは柴犬であっても例外ではなく、柴犬も徐々に年老いていき11歳を超えるとシニア犬として扱われるようになります。柴犬の平均寿命は15歳ほどであり、中型犬としては非常に長く生きることができる犬種として知られています。そんな柴犬がシニア犬になると人間と同じように体のいたるところが悲鳴を上げ始めるのですが、特に見た目から顕著に表れる変化が、換毛周期のずれです。

本来、柴犬は春から夏にかけては夏毛を、秋から冬にかけては冬毛を生やします。ですが、シニア犬になると夏毛や冬毛がいつまでたっても生えてこなかったり、抜け毛が発生しなくなったりします。つまり、夏場だからといって柴犬が暑ぐるしい体毛に覆われているとは限らないということであり、下手にサマーカットをしようとしても夏毛が生えてきていない柴犬に施すのはそれはそれで寒さで体調を崩してしまう可能性があります。

それにシニア犬を病気にさせないためにはサマーカットだけでなく、エアコンによる室温管理も丁寧に行わなければなりません。柴犬は先述した通り長寿犬のため、シニア犬になってからも長い付き合いになる可能性が高いため、老犬の体調変化は見た目ではわかりづらくても、飼い主は柴犬の態度に変わった様子が少しでもないかと心がけて生活する必要があります。また、冬毛が生えてこずに冬を迎えた場合には特に室内の温度管理が重要なので、飼い主がしっかりしなければなりません。

まとめ

柴犬はその被毛構造によって夏場は皮膚の下層に夏毛が生えています。そのため、暑ぐるしいと思ったとしても表面の毛しか着ることができないサマーカットは暑さ対策という意味ではあまり役にたちません。むしろ、それよりもずっと効果があるのがブラッシングやシャンプーによる抜け毛除去であり、こちらの方が皮膚を傷つける心配もない分、おすすめできます。

また、シニア犬になった時には換毛周期がずれていってしまうので、そういった体毛の環境変化も飼い主はよく考慮しながら、ドッグサロンでヘアーカットをするかどうか決めなければなりません。

-トリミング

Copyright© 柴犬 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.